蛇と花
2008年 08月 22日
ぼくをかわいがってくれた叔母がふたりいる。
父の妹と母の妹である。
母の妹は天草の山の中でひとりで暮らしている。
叔母の家にたどり着いたときは、ちょうど一人息子のケンちゃんが東京へ帰ったところだった。
ケンちゃんはぼくより10歳年下である。
東京に着いたという電話と、ぼくが訪れた時間が同じだった。
彼にも会いたかったが、帰ったら東京で会おうと約束をした。
叔母の魚の煮付けはとてもおいしい。
これが楽しみである。
その日はカワハギを煮てくれた。
ほかにお刺身や蛸の煮物。
350ccのビールを半分ずつ飲んでぼくは酩酊してしまう。
叔母は神主でもあるので、朝早くお宮の掃除にでかけたようだった。
ぼくは朝の散歩にでかけた。
庭の井戸端にまっ黒いホースのようなものがだらりと横たわっていた。
蛇だ。
首の下のあたりだけが白い。
「家の守り神だよ。」
と叔母がいった。
一昨年の夏、ケンちゃんとこの家の二階の部屋に蚊帳を吊って寝た。
なかなか寝付けなかった。
ケンちゃんはすでに鼾をかいていた。
天井を這う音がした。
蛇だ。
気味が悪くてなおさら寝られない。
そのうち、ドサッと蚊帳の上に落ちてきた。
これはあのときの蛇に違いない。
もう30年以上前のことだが、ケンちゃんとこの家の近くの山に登った。
川をじゃぶじゃぶを渡ってしばらく歩いたのだが、道が夏草に覆われていて進めない。
「帰ろう。」
といって、振り向くと、道端に蛇がいた。
あれもまっ黒なやつだった。
朝ご飯を食べたら、叔母はお墓参りにいくという。
「ぼくもいくよ。」
数日前から左の膝が痛いのである。
墓へいく山道の入り口に手ごろな竹竿があって、
「これを杖にしたらよかよ。」
と叔母が手渡してくれた。
墓参りというより、これは山登りである。
それでも10分くらいで墓についた。
途中で会った人はふたりだけ。
叔母はその人たちと世間話をする。
だれも墓参りにこなくなったから大変だという話。
みんな歳をとってしまって、この山の上の墓所には登ってこられないのだ。
墓参りを済ませて、
「帰りは涼しい道を帰りましょう。」
ということになった。
竹薮の脇道をゆっくり降りて帰る。
この辺りの山はかつては一面の蜜柑畑だったそうだが、後継者がいなって蜜柑の木を切ってしまったのだそうだ。
その蜜柑の木を切って草原になったところ一面に花が咲いていた。
不思議な光景に思わず声をあげてしまった。
父の妹と母の妹である。
母の妹は天草の山の中でひとりで暮らしている。
叔母の家にたどり着いたときは、ちょうど一人息子のケンちゃんが東京へ帰ったところだった。
ケンちゃんはぼくより10歳年下である。
東京に着いたという電話と、ぼくが訪れた時間が同じだった。
彼にも会いたかったが、帰ったら東京で会おうと約束をした。
叔母の魚の煮付けはとてもおいしい。
これが楽しみである。
その日はカワハギを煮てくれた。
ほかにお刺身や蛸の煮物。
350ccのビールを半分ずつ飲んでぼくは酩酊してしまう。
叔母は神主でもあるので、朝早くお宮の掃除にでかけたようだった。
ぼくは朝の散歩にでかけた。
庭の井戸端にまっ黒いホースのようなものがだらりと横たわっていた。
蛇だ。
首の下のあたりだけが白い。
「家の守り神だよ。」
と叔母がいった。
一昨年の夏、ケンちゃんとこの家の二階の部屋に蚊帳を吊って寝た。
なかなか寝付けなかった。
ケンちゃんはすでに鼾をかいていた。
天井を這う音がした。
蛇だ。
気味が悪くてなおさら寝られない。
そのうち、ドサッと蚊帳の上に落ちてきた。
これはあのときの蛇に違いない。
もう30年以上前のことだが、ケンちゃんとこの家の近くの山に登った。
川をじゃぶじゃぶを渡ってしばらく歩いたのだが、道が夏草に覆われていて進めない。
「帰ろう。」
といって、振り向くと、道端に蛇がいた。
あれもまっ黒なやつだった。
朝ご飯を食べたら、叔母はお墓参りにいくという。
「ぼくもいくよ。」
数日前から左の膝が痛いのである。
墓へいく山道の入り口に手ごろな竹竿があって、
「これを杖にしたらよかよ。」
と叔母が手渡してくれた。
墓参りというより、これは山登りである。
それでも10分くらいで墓についた。
途中で会った人はふたりだけ。
叔母はその人たちと世間話をする。
だれも墓参りにこなくなったから大変だという話。
みんな歳をとってしまって、この山の上の墓所には登ってこられないのだ。
墓参りを済ませて、
「帰りは涼しい道を帰りましょう。」
ということになった。
竹薮の脇道をゆっくり降りて帰る。
この辺りの山はかつては一面の蜜柑畑だったそうだが、後継者がいなって蜜柑の木を切ってしまったのだそうだ。
その蜜柑の木を切って草原になったところ一面に花が咲いていた。
不思議な光景に思わず声をあげてしまった。
by bbking1031
| 2008-08-22 00:47
| 写真と日記