日々の泡を綴る うたかたの光を撮る


by bbking1031
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時を賭ける

時を賭ける_c0156908_091547.jpg


そうか。
時間は戻らないんだな。
先へ先へと進むしかないんだな。

2月の誕生日が近づく。
嬉しくもなんともない。
2月は冬枯れの時。
親父が2月に死んだから、ぼくも2月に死ぬはずだ。
2月がいちばん長いのだ。
ああ、憂鬱ですよ。

パリの人は2月に自殺するらしい。
春が待ちきれないのだね。
ルイ・マルの『鬼火』なんか観たら、もうだめだろうな。

文学は人生の中に美を探ること。

萩谷朴先生が亡くなった。
この先生はあれだけ学生が大勢いるのに、ぼくを名前で呼んでくれた。
バスを待っていたら、ぼくを呼ぶ声がする。
萩谷先生がタクシーに乗るところで、ぼくを同乗させてくれたのである。
「才子多病というのだ。」
先生はすでに病と闘っていたのかもしれない。
「君子は山を好み才子は水を好む。
きみはどっちが好きだ。」
「水です。」
「ぼくもそうだね。」
この先生はいつも戦っていた。
文学者は戦っていなくてはいけない。
先生には文学者という名の戦士であった。
享年91歳。
合掌。
by bbking1031 | 2009-01-30 00:29 | 写真と日記