日々の泡を綴る うたかたの光を撮る


by bbking1031
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梨の月

夜の梨園
梨の実をするりと剥いて
大きく割ったような
月が
こんなにも低く
懐かしい
うっとりと甘い

土曜の夜の
緩やかな時の傾斜

会いたい
と思うだけで
会えないのに
会ったような気持ちになる
月あかり

天使にあるのは
天使の心
天使の心は蒼穹のようで
蒼穹には人は棲んでいない
雲間をピラルクが泳いでいる
泡のような大気が潮のように満ちてくる

明日はくる
という実感
ターコイズブルーの夜空に
星がひとつ
月光のシャワーを浴びながら
ぼくにだって
明日を考えることがある

殺虫灯に焼かれる音
虫の死の音
虫の死も生も
ぼくの生も死も
同じように小さくて
やがて焼かれることには違いがない

ぼくは天空を泳いでいる
まだ見ぬ記憶の海を流れている
そして
明日がくるまでに
しておかなければならないこと
夢のなかでいくつかのやくざな石を割っておくこと
月まで水を汲みにいくこと
石をパンに変え
月の水でお茶を淹れ
地盤の端で流れ落ちる時間の虹を見てこよう


「詩集」
by bbking1031 | 2008-07-13 00:02 | | Comments(0)