いろいろはっきりさせておこう。
いいたいことはいっておこう。
今まで黙ってたけどほんとはね、とか。

ちっこい青年がいて、
「肩幅狭いなあ。
大仏の鼻の穴もくぐれるね」
「なんすか、それ?」
「奈良の大仏殿の柱に穴が空いてて、そいつを潜るとなんかいいことがあるとかないとか」
「どんないいことがあるんですかね?」
「鼻の穴が大きくなるとか」
「よくないじゃん」
すると、京都出身の奥様が、
「京都の祇園に縁切り神社あって、穴を潜って縁を切るんです。
お札でかまくらみたいになってる」
なるほど、ここみてください。
お寺や神社はいろんなイベントをやるし、こういうアトラクションも考え出すわけです。
「幸せになれる」っていったって、幸せってなんだろうなあ?
ぼくはもう十分に幸せなんじゃないかと思う。
このごろもういいよって気分ですね。
停電だって面白い。
昔は急に停電になった。
計画停電には計画的に対処しなくてはいけない。
産業に与える影響は甚大だろう。
うちだって例外ではないが、知恵を絞らないと。
嘆いていても始まらない。

電力が足らない分、節電をする。
案外できるものだ。
贅沢過ぎた。
そういえば昔は冷蔵庫も電子レンジもなかった。
テレビだって昼間はやってなかったし、コマーシャルの度にテレビを消す家もあった。
もちろんコンビニなんてなかったから、日が暮れてしばらくすると店じまいしてた。
京都の錦小路なんてたいていの店が6時に閉めちゃう。
京都の夜は長いだろうなあ。
ヨーロッパの街なんてたいていこんなものらしい。
不夜城とかいうのは終わりにしよう。
ちょっとライフスタイルを変えたほうがいい。
東京に人口が集中し過ぎているから地方に「疎開」するのもいいだろう。
なんて気楽なことをいってますが、仕事がないから東京に集まるわけだから、企業も地方に引越したほうがいいか。
東電では現在の電力需要はまかなえないしね。
なんか静かだ。
昔はこんなふうだったかなあ。
日が暮れると町はひっそりとして、家々に点った灯りが暖かかった。
魚を焼く匂いがした。
なんだか懐かしいような。
国道も暗くて、畑の中のラブホが目だって明るい。
一台のマーチが国道をくいっと曲がってラブホのほうへ、精子のように飛んでいった。
はやる気持ちを抑えてるんだろうなあ。
てな脳天気なことでも書いておこう。

先行きは非常に不安で、不安に押しつぶされそうになるかというとそうはならない。
日本人、落ち着いてる。
というか逃げてもしょうがないか。
経済はどうなるのか。
電力が足らんから、だめなものはだめでしょ。
電力が多少足らなくてもどーにかなる商売を考えなくては。
で、考えた。
準備も始めた。
生き残るには、ただただ考えていてもだめだ。
動け動け。
自分が動けば人も動くだろう。
天に昇り
昏い宇宙から
星よりも早く
降ってくる
無音の雨に
揺り起こされた
夜明け
校庭に深海魚がうねうねと動いている
砂場で貝拾いができるだろう
膨らみ始めた桜の木で
ウミウシと
アメフラシが
眠っている
春が
こんなに
寒くやってきた
春が
約束だけは
果たしにきたようだ
休日がほとんどなくて、それがいいとか悪いとかではない。
会社が存続していられるだけまし。
ここで休むと崩れるだろう。
砂でできているような気がする。
ぼくらの文明。

ついついみんな口にするのは、
「被災地よりまし」
停電もガソリン不足も被災地よりましだし、何より、生きていられるだけありがたい。
お店も閉店しているところが多い。
なによりも節電。
ぼくらが節電することが被災地とどう関係があるかというと、ぼくらが節電することで多少とも化石燃料の使用を減らせることができ、その分を被災地に充てられるということかな。
沖縄の人の質問で「自分たちが節電することが被災地とどう関係するのか」というのがあった。
そう、もう同じ地球にいるのだから、ぼくのすることは遠くの国のだれかさんの生活に影響を与えるんだ。
今までそうゆうことを考えたことがあまりないよね。
みんなで応援している。
毎日なにかできないかと思っている。
宅急便が動いたらなあ。
今は気持ちしか送れないのが残念だ。
